2008年05月10日

残業代不払いの話はホワイトカラーエグゼンプションでさらに

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080509-00000097-jij-soci

紳士服店につづいてSHOP99でも「名ばかり管理職」
とう名の残業不払いで告訴されたそうです。

これは氷山の一角でしかない問題だと思うので、1つ1つ
の企業名が挙がるごとにその企業についてコメントしても
意味がないと思いますが、労働者として一つ頭に留めて
置かないとならないのはホワイトカラーエグゼンプション
導入の是非について。


枡添要一厚労相は以前、ホワイトカラーエグゼンプション
を「家庭だんらん法」に変えよ!と号令を発しました。

この法案の成立によって、企業側は過労死する社員に
対して責任を問われることが無くなることから、業界団体、
主に経団連がその導入を働きかけていて、これまで以上
社員に過労を強いる法的根拠を与えることになります。

もちろん、業態によっては導入が必要なケースもある
ことは承知していますが、対象業種をポジテイブリストに
するのではなく、ネガティブリスト、もしくは業種を
限定しないという形で導入するように働きかけたのは
経団連です。人件費の圧縮と、いざと言う場合の訴訟費用
や労災保険料を削る目的です。

いざという場合というのはすなわち今回のようなケースや、
さらには過労で残念にも亡くなってしまうようなケース
です。

現在は労働基準法で形式的(法律上)には労働時間を
規制する事によって、労働者の労働安全が確保されて
います。
まぁ、サービス残業などはどの企業でも恒常的だろう
と思うので、一応守るための法的根拠程度ですが、
でもこれがいざという時には武器にかわるわけで、
それによって無限大の労働時間を強いることから
守られているともいえます。

もしホワイトカラーエグゼンプションが導入されたら、
その最後の砦がなくなることになります。


既に導入されているアメリカは日本と異なり、
労働市場の状況が大きく異なっています。

アメリカでは元々雇う側と雇われる側の双方
が(一応)対等の立場で交渉できるような社会
であり、またきちんとした労働市場が出来上がって
います。
マトモに社員の労務管理が出来ない会社には悪い
噂がたつ等して、有能な人員が寄り付かなくなり、
倒産ということになるため、企業は社員の労務
にはきちんと目を向けています。

一方日本は、企業側と交渉を行うべき連合
(日本労働組合総連合会)が実質的にあまり
有効に機能しておらず、各企業で組合に加盟する
社員も年々減ってきている状況です。

元々日本では三種の神器「終身雇用」「年功序列型
賃金」「企業別組合」というかたち、特に前の2つ
によって社員の福利が守られながら、主に高度成長期
に大きく発展してきたことは周知のとおりかと思います。
(これらの三種の神器を手放しで褒め称えている
 訳ではありませんが。)

労働環境がその時代から大きく進歩していないまま
形式だけホワイトカラーエグゼンプションを導入
することになると、労働者はマトモな交渉手段を
持たず、また労働市場も未熟なまま、最後の砦であった
法的根拠も失ってしまうことになります。

枡添要一厚労相のいう「家庭だんらん法」とうのは
そう考えると単なる目くらましでしかないと言うのが
わかってきます。


直近10年以上にわたって、日本の年間自殺者は
30000人を上回っています。
一方、飲酒運転など様々な理由によって交通事故で
亡くなる方は、年々減少し、去年は6000人台まで
になりました。

交通事故で亡くなる方に対して、自ら自分の命を絶つ
方は不幸にもその4〜5倍に相当します。

「経団連」「厚労省」「現与党」はそうしたことを
踏まえた上で、でもホワイトカラーエグゼンプション
の導入に前向きです。

最後の砦が亡くなってしまえば、自殺者も今まで以上
に増えていくことでしょうし、それによって残された
家族や身の回りの人たちは、交通事故以上に思い悩んで
暮らしていかなければならないということになるのでは
無いかと思います。

年間30000人というと他人事のように聞こえるかも
知れませんが、日本の人口は1億3千万人弱です。
割り算してみてください。
   … 約4200人に一人が自ら命を絶っている

自殺未遂者はその10倍はいらっしゃると言われています。
単純計算では420人。

中小企業の全社員数=420人程度という会社は
少なくないのではないでしょうか?これだけの人数に
なってくると、決して他人事という問題ではありません。
すぐ身近にある危機と言えそうです。


今回のSHOP99の訴訟は、こうした流れに対する
抵抗の一つとして極自然な話なのでしょう。

これからもこうした事例が沢山挙がってくることを期待し、
それにより企業側の言い分と労働者側の言い分を
きちんと白日の下で検証して、歩み寄っていくプロセス
を積み重ねながら、成熟した社会に近づいていって
くれたら… と考えています。
posted by neko at 12:34| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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